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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻3号

2019年03月発行

文献概要

症例報告

CD4CD8菌状息肉症患者に生じた皮膚クリプトコックス感染症の1例

著者: 湊はる香1 工藤比等志1 為金現2

所属機関: 1兵庫県立尼崎総合医療センター皮膚科 2兵庫県立尼崎総合医療センター血液腫瘍内科

ページ範囲:P.271 - P.276

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要約 83歳,女性.全身の瘙痒を伴う紅斑で当科を受診した.皮膚生検および骨髄生検にてCD4CD8菌状息肉症と診断した.紫外線療法や抗悪性腫瘍薬で治療中に左上肢に蜂窩織炎を発症,その後,左前腕に皮下硬結が生じた.菌状息肉症の腫瘤を疑い生検したところ,皮下に多数のCryptococcus neoformansを認めた.他臓器には病変を認めなかったため,原発性皮膚クリプトコックス感染症と診断しイトラコナゾール内服療法で治療を開始した.徐々に左上肢の発赤と腫脹は改善し,皮下硬結も縮小した.過去の報告例によると,皮膚クリプトコックス症の皮膚症状は多彩であり,蜂窩織炎様の症状を呈することも多い.免疫抑制状態にある患者の蜂窩織炎をみた際には,皮膚クリプトコックス症も念頭に置いて治療にあたることが必要と考えられた.また,他臓器に病変がないかどうかは,画像検査のみで判断するのではなく各種培養検査や髄液検査なども積極的に行って確認する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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