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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

症例報告

病初期にリンパ腫との鑑別を要したジアフェニルスルホンによる薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 布井春佳1 漆畑真理1 石川裕子1 宇山美樹1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)

ページ範囲:P.301 - P.307

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要約 44歳,女性.蕁麻疹様血管炎を疑い処方されたジアフェニルスルホンの内服3週間後より全身の紅斑,39℃の発熱,リンパ節腫脹,肝機能障害が出現した.病理所見でリンパ球様細胞の著明な浸潤を認め,CD8優位でMIB-1 indexが70%と高値であり悪性リンパ腫を鑑別に考えたが,当院におけるDIHS7例の病理検体でリンパ球解析を行ったところ,CD8優位のリンパ球浸潤が目立ち,MIB-1 indexが高い傾向にあることがわかり,薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)に矛盾しない所見であると結論した.入院2か月後にHHV-6の再活性化を認め,診断基準のすべてを満たし,DIHSと診断した.メチルプレドニゾロン1,000mg/日パルス後にPSL 60mg/日を継続したが改善に乏しかった.入院3か月後に全身の紅斑,肝機能障害が再燃し,免疫グロブリン大量点滴静注療法(intervenous immunoglobulin:IVIG)20g/日を5日間施行したところ改善傾向となり,入院5か月後に退院となった.ステロイド抵抗例や,慢性期における再燃時には,IVIGの投与を考慮すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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