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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

症例報告

毛組織への分化を示したと考えられたアポクリン型皮膚混合腫瘍の1例

著者: 武田芳樹1 原田和俊2 白井浩平2 坪井良治2 川内康弘1

所属機関: 1東京医科大学茨城医療センター皮膚科 2東京医科大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.309 - P.312

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要約 57歳,男性.2年前から右耳前部に皮膚結節が出現した.初診時,右耳前部に2.0×1.5cm大,弾性硬で常色の皮内から皮下の結節を認めた.病理組織では結節は粘液様の間質を背景に断頭分泌を示す管腔と類円形腫瘍細胞が胞巣状に増殖する部分,陰影細胞が腫瘍塊を形成する部分および角質囊腫を中心に毛芽・上部毛包・下部毛包への分化を示す部分の3つから構成されていた.毛包分化を示す部位とアポクリン分化を呈する部分とに連続性はなかったが,本症例はアポクリン型皮膚混合腫瘍が一部で毛組織への分化を示したと考えた.アポクリン型皮膚混合腫瘍は毛包脂腺アポクリンユニットに由来するとされ,毛包への分化傾向を示すことがある.しかし,本症例のように多彩な毛組織への分化を示した症例の報告は稀と考え報告した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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