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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

症例報告

成人女性の外陰部に生じたLangerhans細胞組織球症の1例

著者: 石井まどか1 藤田英樹1 照井正1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野

ページ範囲:P.337 - P.342

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要約 20歳,ノルウェー在住のベトナム人女性,初診の5か月前から外陰部に疼痛を伴う皮疹を自覚した.短期留学のためノルウェーから来日した際に当科を受診した.初診時,大陰唇内側に大小の紅色小丘疹が多発・散在し,大陰唇全体は軽度腫脹を伴っていた.肛門周囲は全周性に紅色小丘疹が散在していた.病理組織像では,真皮内にリンパ球,好酸球,組織球からなる多彩な細胞浸潤がみられた.また,コーヒー豆様核を有するやや大型の組織球様細胞が多数浸潤していた.免疫染色では,大型の組織球様細胞は,CD1a,S100蛋白,Langerin(CD207)に陽性であった.以上より,Langerhans細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)と診断した.全身精査では異常はみられなかった.帰国までの間ステロイド外用を行ったが,一時的な改善がみられるのみであった.自験例はLCHを疑っていなかったため,当初診断に難渋したが,成人の外陰部の病変で,組織球様細胞を含む多彩な細胞浸潤を示す場合,本症も疑うべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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