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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

症例報告

皮膚生検で診断を確定しえた神経核内封入体病の1例

著者: 山根万里子1 片山智恵子1 西村広健2 林宏明1 久徳弓子3 藤本亘1 青山裕美1

所属機関: 1川崎医科大学皮膚科学 2川崎医科大学病理学 3川崎医科大学神経内科学

ページ範囲:P.366 - P.370

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要約 神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease:NIID)は病理学的にエオジン好性の核内封入体を中枢および末梢神経系の神経細胞およびグリア細胞,諸臓器の細胞の核内に認める神経変性疾患である.この核内封入体はユビキチン染色で陽性を示す.本症はこれまで剖検により診断されていたが,近年皮膚生検で核内封入体を検出することで診断が可能となった.それに伴いNIIDと診断される症例が増加しているが,皮膚科領域からの報告は少ない.われわれはNIIDを疑われた症例において大腿からの皮膚生検で核内封入体を検出し確定診断をすることができた.自験例において汗腺,線維芽細胞,脂肪細胞における核内封入体の陽性率を比較した結果は,汗腺が観察面積あたりの細胞密度が最も多く観察対象として優れていた.NIIDの診断で皮膚生検を行う際は,脂肪組織とともに汗腺を得るために,汗腺の多い部位から組織を採取する必要があると考えた.

参考文献

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10) 中村元信:Derma 220:9, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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