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増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 1.最近話題の皮膚疾患
Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)の皮膚病変としてのgraft-versus-host disease(GVHD)-like erythroderma
著者: 張田修平1 猿田祐輔1 中村華子1 鈴木茉莉恵1 北島真理子1 北見由季1 渡辺秀晃1 末木博彦1
所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座
ページ範囲:P.10 - P.16
文献購入ページに移動Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)は胸腺腫の腫瘍随伴症候群の1つとして近年報告が散見されるようになった稀な疾患である.胸腺腫内でnegative selectionの過程の異常,制御性T細胞(Treg)の減少により骨髄移植などの既往がないにもかかわらず皮膚,肝臓,腸管が障害されるという移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)に似た病態を呈する.GVHD-like erythrodermaなどの皮膚病変は胸腺腫患者の予後不良因子であり,TAMAの重要な診断契機となりうる.そのため皮膚症状からTAMAを早期に診断し適切な治療を行う必要がある.本稿では,われわれが経験したTAMAに伴うGVHD-like erythrodermaの症例を提示し,病態,臨床所見,組織所見,治療,予後を中心に文献的考察を加えて解説した.TAMAの認知度は依然低く,皮膚科医にも十分に周知される必要がある.
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