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増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 2.皮膚疾患の病態
Non-HIV免疫再構築症候群の病態としての薬疹
著者: 末木博彦1
所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座
ページ範囲:P.38 - P.43
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免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)はHIV感染治療による免疫の回復に伴って生ずる疾患群として概念が確立されたが,非HIV感染者においても免疫抑制治療の解除や免疫チェックポイント阻害薬投与による免疫の回復によって同様の事象が経験される.皮膚科領域では薬剤性過敏症症候群においてIRISの病態を示すエビデンスが得られている.しかしその他の疾患ではエビデンスが十分とは言えない.本稿ではステロイド薬減量中に発症した中毒性表皮壊死症,免疫チェックポイント阻害薬投与中に生じた薬疹の症例を呈示し,皮膚病変発症時に好中球増加,リンパ球減少,LDH上昇など共通する検査値の変動があることを示した.今後,免疫関連有害事象(irAE)を包含する概念と考えられるnon-HIV IRISの診断基準を確立し,バイオマーカー開発を進める必要がある.
免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)はHIV感染治療による免疫の回復に伴って生ずる疾患群として概念が確立されたが,非HIV感染者においても免疫抑制治療の解除や免疫チェックポイント阻害薬投与による免疫の回復によって同様の事象が経験される.皮膚科領域では薬剤性過敏症症候群においてIRISの病態を示すエビデンスが得られている.しかしその他の疾患ではエビデンスが十分とは言えない.本稿ではステロイド薬減量中に発症した中毒性表皮壊死症,免疫チェックポイント阻害薬投与中に生じた薬疹の症例を呈示し,皮膚病変発症時に好中球増加,リンパ球減少,LDH上昇など共通する検査値の変動があることを示した.今後,免疫関連有害事象(irAE)を包含する概念と考えられるnon-HIV IRISの診断基準を確立し,バイオマーカー開発を進める必要がある.
参考文献
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