icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻5号

2019年04月発行

文献概要

Derm.2019

自己免疫性水疱症外来にて

著者: 氏家英之1

所属機関: 1北海道大学病院皮膚科

ページ範囲:P.43 - P.43

文献購入ページに移動
 当科の自己免疫性水疱症外来では,天疱瘡や類天疱瘡の患者さんの診断,軽症例の通院治療,中等症〜重症例の退院後フォロー,臨床治験などを行っている.多少時間がかかるものの,患者さんの話をしっかり聞いて診療することを心掛けている.外来で悩ましいのは,ステロイド内服の合併症対策と,ステロイド減量の判断である.外来で患者さんは多くのことを語ってくれる.「最近だるくて…」(ステロイドによる筋力低下? 不眠症のせい? 肝機能障害? 内分泌異常?),「目がかすむんです…」(ステロイド性白内障?),「腰が痛くなってきました…」(骨粗鬆症による圧迫骨折?),「膝も痛い…」(体重増加+下肢筋力低下によるもの?),「足がしびれるような感じが…」(?),「最近ご飯が美味しくないのです…」(?)など.どれもこれもステロイド内服に関係がありそうななさそうな微妙なところである.検査で異常が見つかることもあるので安易に不定愁訴扱いするのは危険ではあるが,過剰診療になるのも避けたいので,精査や他科紹介に踏み切るタイミングにはいつも苦慮している.
 天疱瘡や類天疱瘡は再発が多い.ステロイド減量で患者さんの希望と私の方針が合わないこともある.「え? 今日は薬を減らしてくれないのですか? 多少再発する可能性があっても減らしてほしいです」という方もいれば,「無理に薬を減らさないでください.二度と再発したくないんです」という方もいる.そこで,別の患者さんに「あなたの希望はいかがですか?」と尋ねると,「そんなの私に聞かれてもわからないので,先生が決めてください」と返ってくる.ああ,再発予測マーカーさえあれば….日々,医学の限界を感じつつ,それが研究の原動力となっているようにも思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?