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増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 3.新しい検査法と診断法
非侵襲熱物性計測による皮膚腫瘍の早期診断の可能性
著者: 佐藤遥太1 藤村卓1 岡部孝裕2 圓山重直3 相場節也1
所属機関: 1東北大学大学院医学研究科皮膚科 2弘前大学理工学研究科 3八戸工業高等専門学校
ページ範囲:P.69 - P.73
文献購入ページに移動皮膚腫瘍の初診時診断は主にダーモスコピーを用いた視診によりなされる.しかし時に皮膚科専門医においても診断に苦慮することがあり,悪性腫瘍の発見が遅れ治療に影響を及ぼすことがある.近年,悪性腫瘍と健常組織ではその熱伝導率が異なることが示唆されている.そこで,精密な温度測定に汎用されているサーミスタを応用して,非侵襲的に皮膚表面の温度を測定する技術を利用し,皮膚腫瘍と隣接する健常組織との熱伝導率の差を数値化し診断の指標とすることで,皮膚腫瘍の良性,悪性の判定を試みた.結果,悪性黒色腫12例,non-melanoma skin cancer 17例において浸潤癌と表皮内癌で真逆の熱伝導性を示すことが明らかとなった.興味深いことに,基底細胞癌のみ表皮内癌と同じ傾向を示した.本機器は,特に皮膚腫瘍の真皮内浸潤を検出する点で優れていると考えられ,特に悪性黒色腫においては,センチネルリンパ節生検の必要性を判断するために有用な検査機器となりうる可能性がある.
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