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増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 3.新しい検査法と診断法
乾癬におけるロイシンリッチα-2グリコプロテイン(血清LRG)測定の意義
著者: 中島英貴1 柴田夕夏1 藤本穣2 仲哲治2 佐野栄紀1
所属機関: 1高知大学医学部皮膚科学講座 2高知大学医学部附属病院免疫難病センター
ページ範囲:P.75 - P.80
文献購入ページに移動ロイシンリッチα-2グリコプロテイン(leucine-rich α-2 glycoprotein:LRG)は主に肝臓から産生されるが,炎症局所での腸管粘膜上皮,好中球,マクロファージにおいても発現を認め,IL-6,TNF-α,IL-22などの炎症性サイトカインによって発現が誘導される急性期蛋白質である.血清LRGは関節リウマチ,潰瘍性大腸炎やCrohn病などの疾患活動性マーカーとして有用であり,炎症性腸疾患におけるラテックス免疫比濁法による血清LRGの測定は2018年8月21日に製造販売承認を取得した.乾癬においてLRGはPASIスコアと強い相関を示し,皮疹の重症度に従い血清LRG値は上昇していた.さらに生物学的製剤投与後の血清LRG値はPASIスコアおよびDAS-28と連動して推移することから,血清LRGをモニターすることにより治療薬の増量,変更もしくは投与間隔の延長の判断と生物学的製剤中止後の再燃予測が可能である.今後,血清LRGなどのバイオマーカーによる病勢の経時的評価で再燃を早期に予測し治療介入することが可能になると思われる.
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