文献詳細
文献概要
Derm.2019
脳内報酬系
著者: 石氏陽三1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
ページ範囲:P.104 - P.104
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連日,外来でかゆみのある患者さんの診察をする.皮膚病変はそれほど重症でないにもかかわらず,かゆみが強い患者さんがいる.また,かゆい部位を引っ掻くと気持ち良く感じるため,掻破行動を止められない患者さんもいる.近年,脳機能画像研究が進み,この掻くと気持ち良く感じているときに,脳内の中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area:VTA)や側坐核(nucleus accumbence:NAc)などのドパミン神経を中心とした報酬系と呼ばれる部位が主要な役割を果たしていることが明らかにされた.これは,私が音楽を聴いているときと類似した脳の状態であると言える.また,薬物,アルコール,ギャンブルや過食など他の中毒も同様に報酬系が関与していることが証明されている.患者さんにとっての掻破は,私にとっての音楽かもしれない.「音楽を聴くな」と言われるのは私自身とても辛い.
連日,外来でかゆみのある患者さんの診察をする.皮膚病変はそれほど重症でないにもかかわらず,かゆみが強い患者さんがいる.また,かゆい部位を引っ掻くと気持ち良く感じるため,掻破行動を止められない患者さんもいる.近年,脳機能画像研究が進み,この掻くと気持ち良く感じているときに,脳内の中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area:VTA)や側坐核(nucleus accumbence:NAc)などのドパミン神経を中心とした報酬系と呼ばれる部位が主要な役割を果たしていることが明らかにされた.これは,私が音楽を聴いているときと類似した脳の状態であると言える.また,薬物,アルコール,ギャンブルや過食など他の中毒も同様に報酬系が関与していることが証明されている.患者さんにとっての掻破は,私にとっての音楽かもしれない.「音楽を聴くな」と言われるのは私自身とても辛い.
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