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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻5号

2019年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 5.皮膚科医のための臨床トピックス

成人の非典型的な手足口病の特徴

著者: 久保田由美子1

所属機関: 1福岡山王病院皮膚科

ページ範囲:P.162 - P.165

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summary
本邦の手足口病は,2009年以降,奇数年で流行し,非典型例や重症例の原因となるコクサッキーウイルス(coxsackie virus:CV)A6の検出率が増加している.当科でも,水痘や多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme:EEM)様の臨床像を呈した,主にCVA6による手足口病の成人例を14例経験したので,臨床的および病理組織学的に検討した.男性5例(平均51歳),女性9例(平均34歳).発熱(10例),感冒様症状(11例)で始まり,皮疹型は水痘型4例,EEM型10例で,全例にかゆみを伴っていた.家族内/外感染が5/6例.白血球減少はなく,9例でCRPとLDHが上昇していた.手足の症状のために11例でステロイド全身投与を要したが,全例,約1〜3週で軽快した.水疱は表皮内水疱で網状変性や海綿状態を伴っていた.紅斑は表皮真皮境界部変性と角化細胞壊死を伴い,真皮の血管周囲と間質にも,リンパ球,好酸球,核塵の浸潤を伴っていた.EEM型を呈する手足口病はかゆみが強く,薬疹と混同しやすいが,全身状態が良好で,好中球,核塵の浸潤が混在していることが,鑑別になると思われた.

参考文献

1) IDWR感染症発生動向調査週報 注目すべき感染症「手足口病」http://www.nih.go.jp/niid/ja/hfmd-m/hfmd-idwrc.html
2) 古賀文二,他:Derma 233:35, 2015
3) 藤山幹子:Derma 242:57, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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