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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻5号

2019年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019 5.皮膚科医のための臨床トピックス

肛囲のPaget病の鑑別におけるGATA3,CDX2免疫染色の有用性

著者: 高井利浩1

所属機関: 1兵庫県立がんセンター皮膚科

ページ範囲:P.183 - P.185

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summary
外陰部の乳房外Paget病で,肛門周囲に病変が分布する場合,それが皮膚原発Paget病か肛門直腸に由来する二次性Paget病かが問題となる.両者は臨床像に加えて病理組織所見も類似するが,皮膚原発であれば皮膚病変に対する治療で根治しうる一方,二次性EMPDの場合には,下部消化管の癌腫の併存を前提とした治療方針を立てる必要があり,これら二者の鑑別は重要な意義を持つ.免疫染色で,皮膚原発のPaget病では一般にCK7陽性,CK20陰性,直腸/肛門管癌はCK7は不定,CK20は一般に陽性とされ,これらの免疫染色が二者の鑑別に有用とされるが,時に例外もあり精度の高い鑑別は難しい場合がある.明確な皮膚原発Paget病の症例と,下部消化管癌の併存を確認された二次性Paget病の例でCK7,CK20に加え,CDX2,GATA3による免疫染色を行った結果,これら2種のマーカーの併用で,鑑別の感度,特異度が向上することを報告した.広く普及していて多くの施設で実施可能,かつ有用な免疫染色と考えられる.

参考文献

1) LeBoit PE, et al:World Health Organization Classification of Tumours, 4th ed, IARCPress, Lyon, p217, 2018
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9) Miettinen M, et al:Am J Surg Pathol 38:13, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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