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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

心臓カテーテル治療施行後に生じた放射線皮膚炎の1例

著者: 沢辺優木子1 田中隆光1 石川武子1 鎌田昌洋1 大西誉光1 多田弥生1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.391 - P.395

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要約 63歳,女性.初診の約3年前に不安定狭心症に対して経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)を計3回施行.PCI施行後約1年半が経過し,右背部に軽度瘙痒を伴う紅斑が出現した.皮疹は徐々に拡大,表皮は菲薄化し皮下は硬化した.中央には潰瘍が出現した.近医にて外用加療を受けたが改善せず当科を受診した.PCIによる放射線皮膚潰瘍と診断し,中央の潰瘍部のみ切除生検するも創が哆開し治癒が遷延した.その後,潰瘍周囲の紅斑部と皮下が硬化した部分までの広範囲のデブリードマンおよび分層植皮術を施行し一部にびらんを呈したが,大部分では生着し上皮化した.外科的治療はこのように正常な組織が露出するまで可能な限り十分なデブリードマンをする必要がある.またPCIによる放射線障害は特徴的な部位にできるが,遅発性障害で照射後時間が経ってから生じ,罹患した冠動脈枝や患者の体厚の影響もあり正確な知識と解釈が必要と考えられた.

参考文献

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10) 柏 克彦,他:PEPARS 39:14, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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