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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

足白癬を合併しテルビナフィン内服により軽快した表在型遠心性環状紅斑の1例

著者: 熊谷宜子1 小林研太1 朝倉涼平1 本田治樹1 江上将平1 杉浦丹1 横山知明1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.397 - P.402

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要約 60歳,女性.当科初診の2か月前から軀幹・四肢に瘙痒を伴う皮疹が出現し,近医皮膚科で抗ヒスタミン薬,漢方薬,ステロイド外用薬で加療されたが改善せず,当科に紹介され受診した.軀幹・四肢に拇指頭大から鶏卵大までの瘙痒を伴う環状紅斑が多発し,辺縁部の内側に落屑を認め,中心治癒傾向があった.病理組織では表皮には軽度の過角化と海綿状態を認め,表皮真皮境界部には液状変性,真皮浅層の血管周囲にリンパ球浸潤を認めた.表在型の遠心性環状紅斑と診断した.足白癬を合併していたため,テルビナフィン内服治療を試み,体幹の紅斑に対し外用剤を中止し経過をみたところ,内服開始2週間後から体幹の環状紅斑は退色し,色素沈着となった.テルビナフィンを16週内服し,終了後も環状紅斑は再発しなかった.環状紅斑は原因不明とされるが,感染症や内臓悪性腫瘍などに伴うことがあるとされ,基礎疾患の治療により環状紅斑が消失する可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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