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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

特異な分布を呈し診断に苦慮した落葉状天疱瘡の1例

著者: 並木かほる1 林耕太郎1 長屋祐圭1 深谷早希1 田中隆光1 石川武子1 鎌田昌洋1 大西誉光1 東海林琢男2 多田弥生1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2帝京大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.403 - P.407

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要約 69歳,女性.9か月前から臀部に紅斑が出現し,5か月前にはびらんを伴い拡大増数した.初診時,軀幹,四肢に手掌大までの鱗屑を伴う紅斑が不規則に散在し,一部にびらんを伴っていた.びらんは主に腋窩・鼠径など間擦部に分布しており,眼囲,鼻翼にも湿潤性紅斑が見られた.組織学的には棘融解細胞を伴う表皮内水疱で,蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgG,C3の沈着がみられた.抗デスモグレイン1抗体は3,710U/mlと上昇.以上より落葉状天疱瘡と診断し,プレドニゾロン40mgから投与開始し軽快した.長期臥床に伴う拘縮に起因するニコルスキー現象によって,間擦部主体の特異な分布になり,さらに慢性の擦過と局所の細菌感染により遷延する湿潤性紅斑を呈し非典型的な分布と臨床像をとったと考えられ,診断時に個々の患者の状態を勘案することも肝要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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