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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

DPP-4阻害薬を投薬中に発症した水疱性類天疱瘡の5例

著者: 渡辺翼1 竹村卓也2 高山治利1 北川尚之1

所属機関: 1総合病院厚生中央病院総合内科 2総合病院厚生中央病院皮膚科

ページ範囲:P.408 - P.414

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要約 糖尿病治療薬であるdipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬を内服中に発症した水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)5例を報告する.当院で発症した最近11年間のBPを検討した結果,DPP-4阻害薬とBPには関連性があることを追認した.最近の論文の多くで,DPP-4阻害薬を使用中に発症したBPには軽症例が多いとされるが,自験例5例のうち3例は軽症とは思えない経過をたどった.これら3例はステロイド内服を漸減すると容易に水疱が再発し,通常型のBPよりむしろ重症な経過をたどった.DPP-4阻害薬は低血糖症状を起こしにくいため,2型糖尿病の主流な治療薬となっているが,副作用としてBPが発症する報告が相次いでいる.特に重症型のBPでは治療に長期間のステロイド内服療法を糖尿病患者に行うことになり,事態は深刻である.DPP-4阻害薬に伴うBPには軽症ではない症例があることを念頭に置く必要がある.

参考文献

1) Bene J, et al:Br J Dermatol 175:296, 2016
2) Ujiie H, et al:J Invest Dermatol 138:1201, 2018
3) 青山裕美:皮膚病診療 38:964, 2016
4) 西江 渉:西日皮膚 78:583, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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