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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

中学生で診断しえた肥厚性皮膚骨膜症の2例

著者: 畠中美帆1 種瀬啓士2 新関寛徳1 持丸奈央子1 関敦仁3 新井勝大4 入江理恵5 和田芳雅6 江浦重義7 吉田和恵1

所属機関: 1国立成育医療研究センター皮膚科 2慶應義塾大学病院医学部皮膚科学教室 3国立成育医療研究センター整形外科 4国立成育医療研究センター消化器科 5国立成育医療研究センター病理診断科 6大和市立病院小児科 7越谷誠和病院形成外科

ページ範囲:P.416 - P.422

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要約 症例1:14歳,男性.6歳頃より掌蹠の多汗,12歳頃より指趾末端肥大,爪甲変形,下腿の腫脹,膝関節痛を自覚していた.症例2:15歳,男性.幼少時より爪甲肥大を自覚していた.両自験例とも頭部脳回転状皮膚は明らかでなかったが,3主徴であるばち指,骨膜性骨肥厚,皮膚肥厚を認めたこと,前額部皮膚からの生検組織において本症に特徴的な真皮の浮腫,ムチン沈着,弾性線維変性,脂腺過形成,線維化がみられたことより,不全型肥厚性皮膚骨膜症と診断した.2例ともSLCO2A1遺伝子変異を同定した.症例1では関節痛に対して選択的Cyclooxygenase 2(COX2)阻害薬が有効であった.本症は消化器潰瘍などの合併症を起こしうるが,最も若年で発症するばち指を見逃さずに本症を疑い,特徴的な病理組織像から早期に診断し,適切な治療介入を行うことが重要である.

参考文献

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11) Shakya P, et al:J Dermatol Sci 90:21, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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