文献詳細
文献概要
症例報告
爪囲の結節から診断しえた結節性硬化症の1例
著者: 北原博一1 三宅亜矢子1
所属機関: 1稲城市立病院皮膚科
ページ範囲:P.423 - P.428
文献購入ページに移動要約 68歳,女性.右第3趾爪囲の結節を主訴に当院を受診し,切除したところ病理診断は被角線維腫であった.右第1趾爪囲にも第3趾と似た皮膚腫瘍があり,既往歴に多発腎血管筋脂肪腫があったため結節性硬化症を疑い,全身検索を施行した.体幹部に5mm以上の複数の白斑を認め,また画像検索にて両側肺野にすりガラス様のびまん性結節影,縦郭部の神経原性腫瘍を認めた.診断基準と照らし合わせ結節性硬化症と診断,足趾爪囲の結節もKoenen腫瘍と診断した.肺病変は25年前の乳癌術後より画像上指摘されており,肺転移と診断され長期間抗癌剤治療されていたが著変なく,結節性硬化症に伴う病変と考えられた.以前からさまざまな画像所見上の異常を認めていたにもかかわらず,結節性硬化症の診断に時間を要した1例であった.結節性硬化症における個々の皮膚所見は比較的珍しくはないが,問診や既往歴も踏まえて結節性硬化症を疑うことが重要と考えられた.
参考文献
1) 金田眞理,他:日皮会誌 118:1667, 2008
2) Urano T, et al:Tokai J Exp Clin Med 41:230, 2016
3) Nishida C, et al:J UOEH 39:133, 2017
4) Urabe U, et al:Toho J Med 2:26, 2016
5) 郡山晴喜,他:日本胸部臨床 73:455, 2014
6) 高橋佳代子,他:麻酔 58:641, 2009
7) 山本典子,他:日胸臨 64:346, 2005
8) 濱口卓也,他:泌紀 47:645, 2001
9) 坂田裕子,他:西日泌 63:601, 2001
10) 河島通博,他:日呼吸会誌 39:277, 2001
11) 枝國源一郎,他:診断病理 17:142, 2000
12) 井崎博文,他:西日泌 62:228, 2000
13) 小林瑞貴,他:泌紀 63:111, 2017
14) 増永泰枝,他:西日皮膚 78:617, 2016
15) 内田雄一郎,他:日臨外会誌 76:622, 2015
16) 米村重則,他:臨泌 66:969, 2012
17) 関野陽平,他:臨泌 66:693, 2012
18) 安井直子,他:日臨外会誌 69:58, 2008
19) 渋谷佳直,他:臨皮 61:826, 2007
20) 齋藤 満,他:日泌会誌 94:634, 2003
21) 黒土升蔵,他:日産婦会誌 54:1509, 2002
22) 黄 義浩,他:日外会誌 101:809, 2000
23) 米満尚史,他:臨床画像 22:340, 2006
24) 谷口菜津子,他:日呼吸会誌 49:355, 2011
25) Wataya-Kaneda M, et al:PLoS One 8:e63910, 2013
26) 下山武彦,他:肺癌 54:135, 2014
掲載誌情報