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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

爪白癬から感染したTrichophyton rubrumによる眉毛部顔面白癬の1例

著者: 北原博一1 稲本伸子1 本田治樹1 矢口貴志2 佐藤友隆13

所属機関: 1北里大学北里研究所病院皮膚科 2千葉大学真菌医学研究センター 3帝京大学ちば総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.435 - P.439

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要約 77歳,男性.眉毛部の紅斑を主訴に受診.ステロイド外用にて治療開始したが,紅斑が増悪した.眉毛のKOH直接鏡検より菌糸を認め,顔面白癬と診断した.妻にMicrosporum canisによる顔面白癬で,テルビナフィン内服による加療歴があり,また敷地内に野良猫が複数おり容易に接触できる環境であったためM. canisによる顔面白癬を疑った.一方で患者の足趾爪甲に白濁病変があり,鏡検にて菌糸を認め爪白癬と診断した.顔面白癬の原因菌を同定するため,眉毛および爪から培養したところ,同様の集落を形成し,菌学的検査にて両者ともTrichophyton rubrumと確定した.顔面白癬の感染経路として,動物や柔道・レスリング選手同士などでの感染が報告される一方で,爪白癬などによる自家播種も考慮すべきであり,感染源特定に培養同定検査が有用であった1例を報告する.

参考文献

1) 渡辺晋一:小児科臨床 70:2384, 2017
2) Burns T, et al(ed):Rook's Textbook of Dermatology 8th ed, vol2, Blackwell Science, Oxford, p.6.29, 30, 2010
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4) Noguchi H, et al:Drug Discov Ther 8:245, 2014
5) 木村 哲,喜田 宏:人獣共通感染症 改定3版,医薬ジャーナル社,p400, 2016
6) Kobayashi M, et al:J Dtsch Dermatol Ges 16:784, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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