icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

成人に多発した黄色肉芽腫の1例

著者: 内田秀昭1 林耕太郎1 原藤緑1 田中隆光1 石川武子1 鎌田昌洋1 大西誉光1 阿曽達也2 近藤福雄2 多田弥生1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2帝京大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.445 - P.449

文献購入ページに移動
要約 59歳,男性.8年前に右頸部に自覚症状を伴わない大豆大の黄色結節が出現した.徐々に増大し胡桃大程度となり,6年前に他院で切除術を受け黄色肉芽腫と診断された.2年前より顔面,右前腕,両手指に大豆大までの半球状に隆起した黄色小結節が計10個多発.いずれの切除標本でも病理組織学的に真皮内に組織球を中心とした細胞が結節状に浸潤し,泡沫細胞が密に増生,Touton型巨細胞も多数みられた.増殖細胞はCD68陽性,第XIIIa因子が一部陽性,CD1a,S100蛋白は陰性であり黄色肉芽腫と診断した.成人性黄色肉芽腫は単発が多いとされるが,本邦報告例131例を検討すると実際には32%が多発性であった.多発性の成人性黄色肉芽腫のうち12%に白血病を,14%に脂質異常症の合併がみられ,単発性と異なり合併症に注意する必要があると考えられた.

参考文献

1) 清水 宏:あたらしい皮膚科学,第3版,中山書店,p436, 2018
2) Gartmann H, Trtsch H:Arch Klin Exp Dermatol 251:409, 1963
3) 住吉孝二,他:皮膚臨床 41:2081, 1999
4) 奥野愛香,他:臨皮 66:879, 2012
5) Altman J, et al:Arch Dermatol 87:164, 1963
6) 大塚藤男:皮膚科学,第10版,金芳堂,p661, 2016
7) 今山修平:皮膚病理イラストレイテッド②免疫染色,秀潤社,p142, 2014
8) 大塚藤男:皮膚科学,第10版,金芳堂,p446, 2016
9) 木村鉄宣:1冊でわかる皮膚病理,文光堂,p345, 2010
10) 津守伸一郎,他:西日皮膚 56:638, 1994
11) 高橋正明,他:臨皮 42:419, 1988
12) 本多芳英,他:日皮会誌 102:212, 1992
13) 松原三希子,他:日皮会誌 101:774, 1991
14) 中太智香,他:日皮会誌 125:2306, 2015
15) 福田知雄,他:日皮会誌 102:858, 1992
16) 竹中秀也,他:皮膚臨床 37:1879, 1995
17) 成田 肇:皮膚臨床 38:159, 1996
18) 中村暁子,他:西日皮膚 73:489, 2011
19) 石原久子,他:日形会誌 33:841, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?