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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻6号

2019年05月発行

文献概要

症例報告

好酸球増多症と多発性単神経炎,紫斑を伴った末梢性T細胞リンパ腫非特定型の1例

著者: 柳澤絵里加1 栗原佑一1 舩越建1 高橋勇人1 加野美希2 深井達夫3 戸澤圭一4 清水隆之4 天谷雅行1 海老原全1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科 2順天堂大学医学部附属練馬病院総合内科 3順天堂大学医学部附属練馬病院皮膚科 4慶應義塾大学医学部血液内科

ページ範囲:P.457 - P.464

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要約 61歳,男性.初診3か月前より発熱,咽頭痛を自覚し,四肢に紅斑が生じた.前医で好酸球数増加を指摘され,持続する発熱と紅斑を主訴に当科を紹介され受診した.紅斑からの病理組織では真皮から脂肪織の血管周囲に好酸球とリンパ球が浸潤していた.経過中,多発性単神経炎と紫斑が生じ,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が疑われた.その後,項部に丘疹が新生し,同部位からの病理組織で真皮全層に異型なCD4陽性T細胞が増生しており,T細胞受容体β鎖の遺伝子再構成を認めた.FDG-PETでは全身のリンパ節,肝実質,両側肺野への集積亢進を認めた.末梢性T細胞リンパ腫,非特定型と診断した.好酸球数増加をきたす疾患としてリンパ増殖性疾患は鑑別に挙がるが,多彩な臨床症状を呈し,診断が困難なことがあり,異なる皮疹が出現した場合は繰り返し生検を施行する必要がある.

参考文献

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11) 松永卓也,他:臨床血液 47:1457, 2006
12) Thielen C, et al:Leuk Res 32:1431, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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