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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻7号

2019年06月発行

文献概要

症例報告

人工透析患者に生じた多発性固定薬疹の1例

著者: 佐藤洋平1 水川良子1 堀江千穂1 平原和久1 狩野葉子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.480 - P.484

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要約 65歳,男性.既往に糖尿病による網膜症および腎症があり,週3回人工透析を施行していた.4年前より左上腕に色素斑が出現し,徐々に拡大したが放置していた.2013年3月,下肢に水疱を認め近医皮膚科を受診した.その際,四肢を中心に周囲に紅斑を伴う色素斑が多発し,市販の感冒薬,PL顆粒®などを頓用していたことから固定薬疹が疑われ,当科を紹介され受診した.入院のうえ,PL顆粒®の内服試験を施行した.薬剤内服45分後に紅斑が誘発され,その新生は内服24時間後まで続いた.その後,複数回の人工透析を行ったにもかかわらず,紅斑は遷延した.経時的な血清サイトカインの測定において,TNF-αは透析後にいったん低下するものの,その後上昇し,健常例と比較して高い数値で推移した.透析によりサイトカインは一時的に除去されるが,透析性の低い原因薬剤ではその除去が遅れるためサイトカインの産生が続き,症状の遷延化につながると思われた.

参考文献

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11) 伊藤有美,他:皮膚臨床 60:47, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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