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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻7号

2019年06月発行

文献概要

症例報告

コントロール不良の糖尿病患者に生じた黄色ブドウ球菌性蜂窩織炎に続発したIgA血管炎の1例

著者: 岩本雄太郎1 小見川知佳1 端本宇志1 花房崇明1 並木剛1 井川健1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.499 - P.503

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要約 48歳,男性.コントロール不良の2型糖尿病を合併していた.当院初診10日前から右腰部に小児頭大の板状硬の発赤が出現した.蜂窩織炎と診断し抗菌薬治療を開始したが,皮膚壊死が進行し,体幹筋が露出する手掌大の深い潰瘍になった.経過中,両下腿に浸潤を触れる数mmから1cm程度の紫斑や血疱が多発し,尿潜血も出現した.皮膚病理組織学的検査で真皮に白血球破砕性血管炎を認め,蛍光抗体直接法では真皮上層の血管壁にIgAの沈着を確認し,IgA血管炎と診断した.症状は,蜂窩織炎の改善とともに軽快し,ジアフェニルスルホン(レクチゾール®)の内服を追加することでさらに改善した.溶連菌性蜂窩織炎に続発するIgA血管炎の報告例は散見されるが,自験例では潰瘍部から黄色ブドウ球菌が検出された.溶連菌だけでなく,黄色ブドウ球菌感染症も,IgA血管炎の原因となる可能性があり,注意が必要と考えた.

参考文献

1) 斎藤隆三:最新皮膚科学体系,4巻,中山書店,p125, 2003
2) 武田修明,他:小児科臨床 53:1473, 2000
3) 川名誠司:日皮会誌 124:2826, 2014
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6) 西岡恵里,他:皮膚臨床 40:417, 1998
7) 牛込悠紀子,他:臨皮 66(増刊):38, 2012
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9) 鈴木 琢,他:皮膚臨床 45:933, 2003
10) 立花隆夫,他:日皮会誌 121:1791, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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