icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

連載 Clinical Exercise・143

Q考えられる疾患は何か?

著者: 大内健嗣1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.563 - P.564

文献購入ページに移動
症例
患 者:57歳,男性
主 訴:全身の皮疹,発熱,咳嗽,足底痛
現病歴:初診の1年前より遷延する咳嗽を認めていた.また2か月前より,咳嗽の増悪,両足底の圧痛,全身の紅斑を認めた.他院にてプレドニゾロン(PSL)0.5〜1mg/kg/日を処方され改善するが,1か月以内での漸減中止後,再燃するという経過を繰り返していた.今回,PSL内服中止後8日目に,発熱,咳嗽,紅斑,両足底痛を認めたため当院に入院した.
現 症:入院時,全身に辺縁隆起し,中央が退色した,標的状を呈する大小さまざまな多形紅斑様皮疹と蕁麻疹様紅斑が混在していた(図1a).皮疹は数日間,持続していた.39℃台までの発熱,胸部に喘鳴音を聴取した.抗アレルギー薬内服,ステロイド薬外用により,皮疹は遠心性に拡大しつつ,色素沈着を残して1週間で消退した.多形紅斑様皮疹消退とほぼ同時期に四肢に紫斑が出現した.四肢に浸潤を触れる米粒大の紫斑を多数認め,一部癒合し,血疱となる箇所もあった(図1b).さらに,同時期より四肢末端優位の多発単神経炎,四肢の大関節痛が出現した.
臨床検査所見(紫斑出現時):〈末梢血〉WBC 11,100/μl(基準値:3,500〜8,500)〔Neu 47%,Eos 34.5%(1〜6)〕,Hb 12.6g/dl,Plt 32.1×104/μl.〈生化学〉LDH 387IU/l(120〜220),AST 22IU/l,ALT 12IU/l,BUN 9.6mg/dl,Cr 1.0mg/dl,CRP 12.57mg/dl(0.35以下).

参考文献

笠井 弘子,他:臨皮 63(12):900-904,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?