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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

Lupus erythematosus profundusに伴う脱毛にヒドロキシクロロキンが著効した1例

著者: 髙野陽子1 大嶋雄一郎1 高間寛之1 渡辺大輔1 野畑宏伸2

所属機関: 1愛知医科大学皮膚科 2愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科

ページ範囲:P.578 - P.582

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要約 46歳,男性.特発性血小板減少症で当院内科にて経過観察中であった.当科初診約2年前より尿蛋白,尿潜血,関節痛,頭部のびまん性脱毛が出現し,精査の結果,全身性エリテマトーデスと診断された.プレドニゾロン(PSL),タクロリムス内服で腎障害,低補体血症は改善したが,頭部のびまん性脱毛はステロイド外用するも改善しないため当科に紹介された.当科初診時は頭部全体にやや陥凹した脱毛斑が多発していた.右側頭部の脱毛部より生検し,毛囊の萎縮,小葉性脂肪織炎を認め,深在性エリテマトーデスに伴う脱毛と診断した.ジアミノジフェニルスルホン(DDS)内服するも難治であり,ヒドロキシクロロキン(HCQ)内服を開始した.内服5か月で側頭部にも発毛がみられ,内服14か月で脱毛は著明に改善した.HCQはDDS,PSL,免疫抑制剤と比べても副作用が少ない薬剤である.欧米のガイドラインで第一選択になっており本邦でも積極的に使用すべきと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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