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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

関節リウマチに対しエタネルセプト投与中に発症したIgA血管炎の1例

著者: 佐野遥1 福味禎子2 松永敬一郎2 高橋一夫3 松倉節子1

所属機関: 1横須賀市立うわまち病院皮膚科 2横須賀市立うわまち病院内科 3藤沢市民病院皮膚科

ページ範囲:P.583 - P.587

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要約 62歳,女性.関節リウマチにてメトトレキサート8mg/週,エタネルセプト2mg/週で加療中に両下肢に紫斑,疼痛が出現した.採血にて血清IgAが474mg/dlと上昇し,病理組織学的所見では白血球破砕性血管炎の像があり,蛍光抗体法にてIgA沈着を認めた.メトトレキサート,エタネルセプト投与を中止し,プレドニゾロン10mg/日を開始したところ,紫斑は改善した.抗CCP抗体が686.9U/mlと高値であり,リウマチ性血管炎との鑑別を要したが,ステロイド内服漸減後も再燃なく経過していることから,エタネルセプト投与により誘発されたTNF-α阻害薬関連血管炎と推測した.また自験例では皮膚症状出現3か月前に化膿性乳腺炎の既往があり,その感染が何らかの免疫学的機序を通して,血管炎の発症に関与した可能性も考えられた.TNF-α阻害薬使用中に血管炎を疑う皮膚症状が出現した場合は,薬剤による可能性を考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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