icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

粘膜皮膚病変はコントロール良好であったが閉塞性細気管支炎を発症した腫瘍随伴性天疱瘡の1例

著者: 遊佐志乃1 水芦政人1 加賀谷早織1 高橋隼也1 沼田透効1 藤村卓1 渡部晶子1 菊地克子1 相場節也1 石井文人2 橋本隆2

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態皮膚科学分野 2久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.589 - P.595

文献購入ページに移動
要約 65歳,女性.濾胞性リンパ腫の化学療法中に口腔内のアフタ,体幹・四肢の水疱・紅斑が出現し,当科を受診した.皮膚生検の病理組織学的検査で棘融解と液状変性を認め,蛍光抗体間接法では正常ヒト皮膚およびラット膀胱移行上皮間にIgGの沈着を認めた.免疫ブロット法では210,190kDaに反応がみられた.以上の結果より腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus:PNP)と診断した.ステロイド全身投与やIVIG療法,血漿交換療法で皮膚症状は改善し,難渋した口腔内病変もステロイドパルス療法とシクロスポリン内用液による含嗽で消退した.治療開始約半年後,粘膜皮膚症状ともに再燃なく経過していたが咳嗽が出現し,胸部CT検査で閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)と診断した.BOはPNPの約20%に生じ,進行する呼吸不全のため致死的となる.PNPに伴うBOの発症にはエピプラキンに対する自己抗体が関与していると推測されているが,予測因子となるものや有効な治療法は確立されておらず,今後のさらなる研究が待たれる.

参考文献

1) Anhalt GJ, et al:N Engl J Med 323:1729, 1990
2) 橋本 隆:日皮会誌 111:1195, 2001
3) Choi Y, et al:J Dermatol 39:973, 2012
4) 橋本 隆:医学のあゆみ 232:267, 2010
5) Chin AC:J Pediatr Surg 36:1824, 2001
6) Nousari HC, et al:N Engl J Med 340:1406, 1999
7) Fullerton SH, et al:JAMA 267:1500, 1992
8) Tsuchisaka A, et al:J Invest Dermatol 136:399, 2016
9) Takahashi M, et al:Chest 117:603, 2000
10) Suzuki K, et al:J Dermatol 40:142, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら