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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

結節性痒疹様皮疹を伴った粘膜類天疱瘡の1例

著者: 福井香苗1 下田由莉江1 木下美咲1 山崎好美1 下山田博明2 渡辺格3 山田昌和4 石井文人5 橋本隆6 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部病理学教室 3杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室 4杏林大学医学部眼科学教室 5久留米大学医学部皮膚科学教室 6大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.603 - P.608

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要約 72歳,男性.初診4年前より視力低下と四肢の皮疹を自覚した.初診2年前に当院眼科を受診し両側眼瞼結膜癒着を指摘され眼類天疱瘡の診断にてステロイド・抗菌薬点眼が開始された.同時期より嗄声も生じたため当院耳鼻科を受診し食道粘膜や披裂部周囲の粘膜にびらんを指摘され,精査および加療目的に当科に紹介され受診した.初診時,口腔内に広範なびらんがみられ,主として四肢に小豆大の結節を認めた.披裂部および上腕結節部からの生検検体の病理組織像では,粘膜上皮および表皮下に裂隙を認めた.蛍光抗体直接法では表皮基底膜部にIgG,IgAの線状沈着があり,粘膜類天疱瘡と診断した.高齢のため,アザチオプリン単剤で治療開始したところ粘膜症状と結節の改善がみられた.組織所見の類似性や治療への反応性から結節性病変は結節性類天疱瘡ではなく粘膜類天疱瘡と一元的なものであると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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