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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

硬化性萎縮性苔癬の2例—教室経験15例の臨床的組織学的検討

著者: 伊藤満1 水谷陽子1 水野雄貴1 服部有希1 高橋智子1 松山かなこ1 周円1 加納宏行1 清島真理子1

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.610 - P.614

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要約 症例1:55歳,女性.7か月前より瘙痒を伴って上背部,右前腕に萎縮を示す白色の斑が多発していた.病理所見から硬化性萎縮性苔癬(lichen sclerosus et atrophicus:LSA)と診断.その3年後に肛門周囲に瘙痒を自覚し,会陰部に白色局面が出現した.病理所見より外陰部病変もLSAと診断した.症例2:68歳,女性.20歳台より陰部に瘙痒があり,その後白色萎縮局面がみられたため受診.病理所見よりLSAと診断.初診から5年後に陰核右側に角化性腫瘤が出現し,病理所見でLSAの部位に発症した有棘細胞癌(squamous cell carcinoma:SCC)と診断した.2005〜2017年に当科でLSAと診断した15例を検討したところ病変は外陰部が13例,外陰部外が3例であった.外陰部と外陰部外の両方に病変がみられた例は今回報告した1例のみであった.また15例中にSCCの発生を認めた症例も1例のみであった.LSA症例では病変部以外の部位での発症および悪性化に注意し長期間注意深く経過観察する必要があると考えられた.

参考文献

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10) 加藤真紀,他:Skin Surgery 18:106, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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