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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻8号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

毛細血管拡張性肉芽腫様の外観を呈したperforating pilomatricomaの1例

著者: 角田(武内)朝子1 伏間江貴之1 小田俊輔1 雪野祐莉子1 川北梨乃1 白石淳一2 吉田哲也1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構東京医療センター病理検査科

ページ範囲:P.615 - P.619

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要約 22歳,男性.初診2か月前に右上腕内側に皮下結節を自覚し,増大・隆起したため当科を紹介受診した.初診時右上腕に径13mm大で中央部の表面が潰瘍化した弾性硬の淡紅色結節を認め,毛細血管拡張性肉芽腫を疑い全摘出した.病理組織学的に表皮直下から真皮浅層に好塩基性細胞と陰影細胞からなる腫瘍胞巣を認め,腫瘍直上の表皮は欠損し経表皮排泄像を呈していた.以上よりperforating pilomatricoma(PP)と診断した.PPは表皮に穿孔するpilomatricomaの亜型で,病理組織学的には陰影細胞や石灰化基質の経表皮排泄像を呈する.多彩な外観を呈するpilomatricomaの症例は多く知られているが,PPの本邦報告例は少なく,毛細血管拡張性肉芽腫様の外観を呈した例は稀である.しかしながら多彩な外観のpilomatricomaの中には,病理組織学的に検討することでわれわれが経験したPPと同様の症例が含まれている可能性があり今後の検討が望まれる.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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