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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻9号

2019年08月発行

症例報告

ワルファリンカリウム内服中に抗菌薬を投与され左下腿内側のdeep dissecting hematomaによる出血性ショックをきたした1例

著者: 小熊玲奈1 稲福和宏1 竹下郁伶1

所属機関: 1国保直営総合病院君津中央病院皮膚科

ページ範囲:P.667 - P.672

文献概要

要約 85歳,女性.難治性両下腿浮腫に対し,深部静脈血栓症予防目的にワルファリンカリウムを内服していた.当科受診4日前に増悪した右足背の腫脹・滲出液に対し,前医にて蜂窩織炎の診断となり,セフカペンピボキシル塩酸塩水和物の内服が開始された.当科受診当日,左下腿に腫脹と疼痛を自覚し救急要請した.搬送中に同部の急激な増大と皮膚の破裂をきたし,出血性ショックとなった.当院到着後,救急救命科により初期蘇生された.CT画像所見において出血部位の皮下に巨大血腫が確認された.保存的加療により血腫直上の皮膚は壊死となり,治療として外科的デブリードマンによる血腫除去術と分層植皮術を施行した.自験例を深在性解離血腫(deep dissecting hematoma:DDH)と診断した.DDHは初期には丹毒や蜂窩織炎と認識されることが多く,診断には出血素因,内服歴などの問診や皮膚脆弱性の観察が重要である.治療では血腫除去が遅れると広範な皮膚壊死をきたすため,早期に外科的処置による血腫除去が望まれる.

参考文献

1) Kaya G and Saurat JH:Dermatology 215:284, 2007
2) Saurat JH:Dermatology 215:271, 2007
3) Kaya G, et al:Arch Dermatol 144:1303, 2008
4) Baillargeon J, et al:Am J Med 125:183, 2012
5) 渡邉萌理,他:皮膚臨床 56:683, 2014
6) 栗山幸子,他:臨皮 69:902, 2015
7) 佐藤純子,他:臨皮 69:149, 2015
8) 岩名沙奈恵,他:皮膚臨床 58:528, 2016
9) 江藤綾桂,他:西日皮膚 78:487, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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