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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻9号

2019年08月発行

文献概要

症例報告

ゲフィチニブによる紫斑型薬疹の1例

著者: 竹内いづみ1 竹内紗規子1 馬場裕子1 稲積豊子1

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院皮膚科

ページ範囲:P.681 - P.686

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要約 63歳,女性.上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺癌に対しゲフィチニブ投与開始6か月後,両下腿に約3mm大までの浸潤性紫斑と膿疱が出現した.IgA血管炎,腫瘍随伴性血管炎,薬疹を疑い生検を行ったが,明らかな血管炎や真皮小血管壁へのIgAやC3の沈着は認められなかった.ゲフィチニブの休薬により紫斑が消退,再投与により再燃する経過をとったことからゲフィチニブによる紫斑型薬疹と診断した.EGFR阻害薬による皮膚障害は痤瘡様皮疹や爪周囲炎などがよく知られているが,紫斑型薬疹は比較的稀であり,血管炎との鑑別が重要である.本病型ではゲフィチニブの減量,ステロイド外用などにより継続可能となる症例が多く,ステロイドを内服しても紫斑が新生する場合を除いては,ゲフィチニブの内服継続が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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