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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻9号

2019年08月発行

文献概要

症例報告

動脈塞栓術にて縮小した上口唇の動静脈奇形の1例

著者: 鈴木皓1 中山未奈子1 宇野優1 青木礼奈1 尾上智彦1 太田有史1 増田耕一2 竹永晋介2 中川秀己3

所属機関: 1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科 2東京慈恵会医科大学葛飾医療センター放射線部 3東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.717 - P.721

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要約 70歳,女性.初診の2年前より上口唇の皮下腫瘤を自覚し,徐々に増大してきたため当科を受診した.初診時,上口唇に45×20mm大の,表面の一部が紅色調を呈する弾性硬の皮下腫瘤があり,赤唇部の腫脹を伴っていた.触診で同部位に拍動を触れ,3D-CTアンギオグラフィを撮像したところ,同部位に異常血管塊(nidus)を認めた.その後施行した血管造影検査においてもnidusおよび静脈の速やかな描出がみられたため動静脈奇形と診断した.両側の顔面動脈が流入動脈(feeder)と考えられ,血管内治療による動脈塞栓術を2回施行後,拍動は消失し腫瘤は縮小した.塞栓術後14か月現在再増大はない.動静脈奇形の治療としては外科的切除および血管内治療が広く行われているが,特に上口唇のような機能・形態の温存が望まれる部位に対しては,侵襲性の低い治療法として血管内治療を積極的に考慮すべきと考えた.

参考文献

1) Akita S, et al:Plast Reconstr Surg Glob Open 2:e128, 2014
2) Liu AS, et al:Plast Reconstr Surg 125:1185, 2010
3) 寺師浩人:PEPARS 49:1, 2011
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5) Kohout MP, et al:Plast Reconstr Surg 102:643, 1998
6) Richter GT, et al:Laryngoscope 117:328, 2007
7) 新見康成,他:形成外科 60:604, 2017
8) 林 礼人,他:形成外科 60:635, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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