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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻1号

2020年01月発行

文献概要

症例報告

筋膜炎を合併したIgA血管炎の2例

著者: 芦田日美野1 細川洋一郎1 武岡伸太郞2 濱田利久1

所属機関: 1高松赤十字病院皮膚科 2武岡皮膚科クリニック

ページ範囲:P.17 - P.22

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要約 症例1:19歳,女性.初診1週間前に扁桃腺炎に罹患し,その後,四肢に紫斑が拡大した.来院当日,両下腿に激痛を伴い歩行困難となったため近医に救急搬送され,加療目的に当科を紹介受診した.症例2:66歳,男性.初診2週間前より全身倦怠感・関節痛・左大腿背側の疼痛を自覚し,10日前からは下肢に紫斑が出現した.紫斑が四肢全体に拡大したため,当科を紹介され受診した.いずれの症例も,四肢にpalpable purpuraを認め,病理組織学的にleukocytoclastic vasculitisの像を示し,MRIでは疼痛部位に一致して筋膜に沿った異常信号を呈した.安静とステロイド内服などにより加療し,皮疹および筋痛は軽快した.皮膚と同様,筋膜内の血管においても壊死性炎症をきたしたものと考え,筋膜炎を合併したIgA血管炎(IgA vasculitis:IgAV)と診断した.IgAVに筋症状を伴う頻度は低いが,合併症の1つとして筋膜炎があることを認識しておく必要がある.

参考文献

1) 磯部光章,他:血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版),p80, 2018
2) Pillebout E, et al:J Am Soc Nephrol 13:1271, 2002
3) Audemard-Verger A, et al:Arthritis Rheum 69:1862, 2017
4) Watanabe T, Abe Y:Pediatr J Nephrol 19:227, 2004
5) 佐藤洋平,他:皮膚病診療 35:747, 2013
6) 藤井ひかり,久保正英:皮膚病診療 37:139, 2015
7) Kaese HJ, et al:J Am Vet Med Assoc 226:1893, 2005
8) Jennette JC, Falk RJ:N Engl J Med 337:1512, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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