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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻1号

2020年01月発行

文献概要

症例報告

テガフール・ウラシルにより生じたDLE型薬疹の1例

著者: 小川夕貴1 八代聖1 馬場裕子1 河原由恵1 瀧澤一2

所属機関: 1一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科 2滝沢皮膚科

ページ範囲:P.37 - P.41

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要約 77歳,女性.盲腸癌術後,後療法としてテガフール・ウラシル(UFT®)を内服開始し2か月後,頭部に脱毛を伴う紅斑,体幹に3〜5cm大の鱗屑を伴う角化性紅斑を認めた.背部の紅斑より生検を施行したところ,表皮の萎縮,液状変性,真皮浅層のリンパ球浸潤を認め,血清学的には抗核抗体陰性,抗SS-A抗体陽性であった.UFT®中止後に皮疹が速やかに改善した経過を含めて,自験例をUFT®による円板状エリテマトーデス(discoid lupus erythematosus:DLE)型薬疹と診断した.近年フルオロウラシル系薬剤は,改良に伴い血中濃度が高く維持されるようになったため,DLE型薬疹が投与期間や総投与量に相関せず早期に発症する例が多く報告されている.発症には,薬剤そのものによる基底膜障害や,紫外線および抗SS-A抗体存在下での,基底層における自己免疫反応の関与が推察されている.本症例においてもUVB最小紅斑量の低下と抗SS-A抗体陽性を認め,その関連が示唆された.

参考文献

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8) Furukawa F, et al:Histol Histopathol 14:627, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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