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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻1号

2020年01月発行

文献概要

症例報告

線状IgA水疱症の2例—ジアフェニルスルホンの投与方法についての検討

著者: 吉田舞子1 三苫千景2 春山護人34 古江増隆1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 2九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター 3産業医科大学医学部皮膚科学教室 4熊谷総合病院皮膚科

ページ範囲:P.43 - P.49

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要約 症例1:82歳,女性.初診の3か月前より略全身に瘙痒を伴う紅斑,水疱が出現し,線状IgA水疱症と診断された.ステロイドとジアフェニルスルホン(DDS)25mgの内服が開始されたが,BUNの上昇がみられたためDDSを中止したところ紅斑と水疱の新生が続き当科を受診した.DDS 12.5mg/日から再開したところBUN上昇もなく皮疹も軽快した.症例2:69歳,男性.初診の4か月前より体幹に瘙痒を伴う紅斑,水疱が出現し,線状IgA/IgG水疱症と診断した.DDS 25mg/日から開始し皮疹は速やかに消退した.線状IgA水疱症の治療薬としてDDSが第1選択薬として使用されるが副作用の出現が懸念される.過去20年間に本邦で論文として報告された線状IgA水疱症43例のDDSの初期投与量について検討したところ,自験例のようにDDSを少量から漸増投与した症例の報告はなかった.用量依存性の副作用を回避するためにもDDSの少量からの漸増投与を選択肢の1つとして考慮することを提唱する.

参考文献

1) Chorzelski TP, et al:Immunopathology of the Skin, Beutner EH, et al(ed), Wiley, New York, p315, 1979
2) Egan CA, Zone JJ:Int J Dermatol 38:818, 1999
3) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,第6巻,中山書店,p131, 2002
4) 荒川晶子,他:西日皮膚 70:377, 2008
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8) Aram H:Arch Dermatol 120:960, 1984
9) 安藤浩一:臨皮 51:522, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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