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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻1号

2020年01月発行

文献概要

症例報告

脂腺母斑より発生したspindle cell squamous cell carcinomaの1例

著者: 石倉祐貴1 宮森睦月1 山口礼門1 和泉勝彦1 八田順子12 西部明子1 望月隆1 山田壮亮3

所属機関: 1金沢医科大学皮膚科学講座 2河北中央病院皮膚科 3金沢医科大学臨床病理学学

ページ範囲:P.55 - P.60

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要約 66歳,男性,出生時より左前額に皮疹を認めていた.皮疹部を木の枝で受傷し,その2か月後には受傷部に15×15mmの広基性の紅色結節を認めた.全切除したところ脂腺母斑より発生したspindle cell squamous cell carcinoma(SCSCC)であった.脂腺母斑は出生時より認める母斑であり,患者の加齢につれ各種の二次性腫瘍が発生することが知られている.二次性の悪性腫瘍のうち基底細胞癌の報告数が最も多く.有棘細胞癌(squamous cell carcinoma:SCC),とりわけSCSCCの発生した報告例はきわめて少ない.脂腺母斑よりSCCが発生した誘因として加齢のほか外的刺激が関与したと考えた.SCSCCはSCCの稀な一型であり,自験例はepithelial-mesenchymal transition(EMT)を契機に発生した可能性がある.SCSCCでは不幸な転機をとった例も散見されるため慎重な経過観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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