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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻10号

2020年09月発行

文献概要

症例報告

ポドプラニン陽性を示した有棘細胞癌の2例

著者: 宮川真梨江1 安田正人1 須藤麻梨子1 山崎咲保里1 関口明子1 岸史子1 高橋亜由美1 山中正義1 石川治1

所属機関: 1群馬大学医学部附属病院皮膚科

ページ範囲:P.791 - P.796

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要約 症例1:78歳,男性.左こめかみ部に数年前から皮疹を自覚した.症例2:75歳,男性.右耳前部に数年前から痂皮を付す皮疹があり,徐々に増大した.いずれも当科で有棘細胞癌を疑い切除した.切除標本では,中央は潰瘍化しており,類円形から紡錘形の腫瘍細胞が胞巣を形成し,脂肪織まで浸潤増殖していた.腫瘍細胞はD2-40,ビメンチンが陽性であった.D2-40はポドプラニンを標識し,リンパ管内皮マーカーとして知られているが,有棘細胞癌でも陽性となることがある.D2-40陽性の有棘細胞癌は予後不良とされているが,自験2例とも術後2年以上経過し,現在まで再発転移はない.D2-40陽性の有棘細胞癌であっても,早期に根治切除できれば予後改善の可能性があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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