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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻11号

2020年10月発行

症例報告

潜在性二分脊椎を伴ったcoccygeal padの1例

著者: 池田賢太1 松三友子1 眞部恵子1 浅越健治1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター皮膚科

ページ範囲:P.853 - P.857

文献概要

要約 16歳,男性.出生時から仙骨部にえくぼのような小陥凹を認めていた.無症候に経過していたが,中学生時より尾骨部が淡紅色調に硬く隆起し増大してきた.初診時,仙骨部下方の正中に50×15mm程度のドーム状に隆起する硬い淡紅色結節を認め,その頭側に深部に向かって引きつれるような小陥凹を伴っていた.CT画像では仙尾部が直線的で尾骨先端が前方に屈曲偏位していた.また,潜在性二分脊椎と脊髄繋留を合併していた.Coccygeal padは仙尾骨部に生じる胼胝様の隆起性線維性病変であり,思春期の男性に好発する.尾骨の前方屈曲や下部仙骨の直線化を伴うことが多い.一方,潜在性二分脊椎は何らかの皮膚異常を高率に合併することが知られており,自験例ではatypical dimpleを認めた.Coccygeal padと潜在性二分脊椎はいずれも仙尾部の骨形成異常により生じる疾患であり,因果関係が推測される.仙尾部正中の皮膚異常所見を確認した際には,潜在性二分脊椎の可能性も考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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