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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻11号

2020年10月発行

症例報告

胸部トロッカー挿入部に皮下腫瘤を形成した悪性胸膜中皮腫の皮膚転移の1例

著者: 倉地祐之眞1 椎山理恵1 宮尾直樹2 久保田直人3 長村義之3 石橋正史1

所属機関: 1日本鋼管病院皮膚科 2日本鋼管病院呼吸器内科 3日本鋼管病院病理診断科

ページ範囲:P.897 - P.902

文献概要

要約 73歳,男性.約47年間アスベスト曝露歴があった.当院受診1年前に左気胸を発症し,左胸腔にトロッカーを挿入されて手術を受けた.半年前から左胸部のトロッカー挿入部の瘢痕に一致して皮下腫瘤が出現した.3か月前から咳嗽が出現し,他院で胸部X線上透過性低下を指摘され,気管支炎として加療されたが改善せず,当院内科を受診し,皮下腫瘤につき当科を紹介受診した.腫瘤の生検病理組織では異型細胞が真皮膠原線維間に増生する像を認めた.異型細胞はカルレチニンおよびD2-40陽性で,p40,p63,TTF-1,ナプシンAはいずれも陰性であった.気管支擦過細胞診,肺生検でカルレチニン陽性の異型細胞を認め,皮下腫瘤はトロッカー挿入による悪性胸膜中皮腫の皮膚転移と診断した.悪性胸膜中皮腫は肺癌と比較して経皮的医療行為による播種が多く,穿刺や手術部位に一致して皮下腫瘤が出現した場合は皮膚転移を疑い,積極的に精査を行うべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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