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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻11号

2020年10月発行

文献概要

症例報告

Epstein-Barrウイルス関連蚊刺過敏症の1例

著者: 関山紘子1 福田浩孝1 簗場広一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学飾医療センター皮膚科

ページ範囲:P.925 - P.930

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要約 17歳,女性.蚊に刺された部分の水疱形成と,周囲の発赤と腫脹,38℃台の発熱を認めたため蜂窩織炎の疑いで紹介され当院を受診した.抗菌薬とプレドニゾロンの内服で症状は改善したが,1か月後に再度蚊に刺された際に同様の症状を繰り返し再診した.病理組織学的に蚊刺部にCD4T細胞の増殖とEBER(Epstein-Barr virus-encoded small nuclear RNA)陽性リンパ球の浸潤を認めたこと,末梢血中EBV(Epstein-Barr virus)-DNA量3.6×104copies/cellsと高値であったことから,Epstein-Barr(EB)ウイルス関連蚊刺過敏症と診断した.EBウイルス関連蚊刺過敏症はEBウイルスが感染したT/NK細胞がモノクローナルに増殖する疾患群の一型である.蚊刺刺激によるCD4T細胞の増殖は,発熱などの全身症状の出現と関与していることが知られているが,近年EBウイルスT/NK細胞の増殖にも関与していることが明らかとなった.自験例では蚊刺部でCD4T細胞が増殖しており,症状出現のみならず疾患の進行を抑制するためにも,蚊刺刺激を避けることの重要性が示唆された症例であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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