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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

症例報告

後天性反応性穿孔性膠原線維症を合併した水疱性類天疱瘡の1例

著者: 齋藤真衣1 倉田麻衣子1 宮川秀美1 山崎好美1 佐藤洋平1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.957 - P.962

文献概要

要約 74歳,女性.2型糖尿病に対しDPP-4阻害薬を内服開始4か月後より瘙痒感,皮疹が出現し,内服中止後も症状改善せず受診した.中央に角栓を付す紅色結節が全身に多発し,一部に浮腫性紅斑や水疱もみられた.抗BP180抗体の上昇と,紅斑部の皮膚生検所見にて表皮基底層の空胞変性と真皮浅層に好酸球浸潤を認め,直接蛍光抗体法でC3,IgGの基底膜への線状沈着がみられたことから水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)と考え,プレドニゾロン1mg/kg/日の内服を開始したところ,浮腫性紅斑は速やかに軽快したが,瘙痒感と紅色結節は遷延した.結節部では好塩基性の壊死物質および膠原線維束の排出を認めた.以上より後天性反応性穿孔性膠原線維症(acquired reactive perforating collagenosis:ARPC)を合併したBPと診断した.BPに伴う結節性病変としてARPC,結節性類天疱瘡,結節性痒疹の鑑別が問題となるが,自験例ではBPと明らかに異なる病理組織像,臨床経過を呈しており鑑別しえた.

参考文献

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7) Yung CW, et al:J Am Acad Dermatol 5:54, 1981

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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