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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

症例報告

再発をきたしたspindle cell lipomaの1例

著者: 古屋佳織1 志水陽介1 足立太起1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.975 - P.980

文献概要

要約 52歳,男性.11年前に後頸部脂肪腫に対して切除歴あり.1年前より同部位に圧痛を伴う皮下腫瘤が出現し,徐々に増大してきた.初診時,後頸部に5×4cm大の弾性軟,下床と癒着あり可動性不良な皮下腫瘤を認めた.病理組織像では,線維性被膜に覆われた腫瘍内に,成熟した異型性のない脂肪細胞と紡錘形細胞,また膠原線維の増生と多数の肥満細胞からなる領域があり,一部ではロープ状の膠原線維も散見された.免疫組織化学染色にて,紡錘形細胞はCD34に部分的に陽性,S100蛋白陰性であり,spindle cell lipomaと診断した.術後1年の時点で再発はない.Spindle cell lipomaは,中高年男性の項部,肩,背部に好発する脂肪腫の特殊型であり,予後は良好で通常は局所的切除のみで再発はない.今回,11年前の後頸部脂肪腫における病理組織像を再検討したところspindle cell lipomaであった.不完全な切除は再発をきたす可能性があるため,術後も長期的な経過観察が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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