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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

文献概要

症例報告

副乳癌との鑑別に難渋した高齢女性の腋窩皮膚粘液癌の1例

著者: 角田梨沙1 嶋田恭輔2 矢澤真樹3 安西秀美1

所属機関: 1川崎市立井田病院皮膚科 2川崎市立井田病院乳腺外科 3慶應義塾大学医学部形成外科学教室

ページ範囲:P.981 - P.985

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要約 93歳,女性.2か月前に発見された左腋窩腫瘤を主訴に当院受診した.初診時,左腋窩に一部米粒大に突出する,3cm大の囊腫状紅色腫瘤がみられた.病理組織学的に,表皮直下から脂肪織内にかけて比較的境界明瞭な囊腫様病変を呈し,線維性隔壁で分画された粘液状物質内に浮遊するように腫瘍細胞が島嶼状に増殖していた.腫瘍細胞はEMA,エストロゲンレセプター陽性,CK20は陰性だった.全身検索にて他臓器に病変を認めなかった.腫瘍の辺縁に異所性乳腺組織はなく,皮膚粘液癌と考えた.腋窩に発生した粘液癌については,皮膚粘液癌のほか,副乳癌や皮膚転移性腫瘍が鑑別疾患に挙がる.疾患ごとに治療や予後が異なるため,病理組織・免疫組織学的所見,全身検索を通して確実な診断につなげることが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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