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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

症例報告

背部に生じた原発性皮膚辺縁帯リンパ腫の1例

著者: 鈴木彩子1 小笹美蘭1 関山紘子1 福田一郎2 安田仁子3 簗場広一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科 2東京慈恵会医科大学葛飾医療センター放射線科 3安田クリニック

ページ範囲:P.993 - P.998

文献概要

要約 87歳,男性.初診6年前より左上背部に自覚症状を欠く紅色結節が出現した.ステロイドを外用するも改善なく,当科を受診した.病理組織学的には真皮全層に腫瘍細胞が浸潤していた.免疫組織学的に腫瘍細胞はCD20,CD79α,bcl-2陽性であり,CD10,bcl-6陰性であった.遺伝子解析検査で免疫グロブリンH鎖JH領域にて遺伝子の再構成が認められ,画像検査で他臓器病変を認めなかったことから,原発性皮膚辺縁帯リンパ腫(primary cutaneous marginal zone lymphoma)と診断した.放射線治療にて腫瘍は消失し,12か月後の現在まで再発なく経過している.限局する原発性皮膚辺縁帯リンパ腫では外科的切除と放射線治療が第一選択とされている.放射線治療は多くの例で奏効するが,寛解後に再発する症例も散見され,寛解後も注意深い経過観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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