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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

文献概要

症例報告

Exophiala xenobioticaによる黒色菌糸症の1例

著者: 水橋覚1 金子彰良1 城野剛充1 平原信雄2 矢口貴志3 牧野公治1

所属機関: 1国立病院機構熊本医療センター皮膚科 2自由が丘病院 3千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.999 - P.1002

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要約 86歳,男性.精神科病院に入院中.2か月来の左第1指間の排膿を伴う皮下結節で受診した.全摘生検の結果,病変内部に褐色,有壁性の菌糸性菌要素と連鎖する円形細胞がみられ,黒色菌糸症と診断した.当初起因菌は,培養検査で褐色の有壁菌糸とフラスコ形の分生子形成細胞がみられ,Exophiala dermatitidisが疑われた.術後イトラコナゾール1日200mgを5か月間投与した.遺伝子学的診断の結果より起因菌は致死性の低いE. xenobioticaと同定され,肉眼的に再発は認めなかったため,治癒と判定した.黒色菌糸症の場合,培養検査のみでは起因菌の同定に至らない場合があるが,リボゾームRNA遺伝子ITS領域解析によってより正確に菌種を同定することができる.場合により抗真菌薬投与期間の短縮に貢献しうると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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