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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻12号

2020年11月発行

症例報告

低ガンマグロブリン血症を合併した特発性後天性全身性無汗症の1例

著者: 小倉康晶1 花井志帆1 影山玲子1 青島正浩2 大塚久美子3 八木宏明3 戸倉新樹1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学講座 2青島皮膚科医院 3静岡県立総合病院皮膚科

ページ範囲:P.1015 - P.1020

文献概要

要約 41歳,男性.初診10年前よりほぼ全身の減汗を自覚し,また全身の疼痛とそれに伴う点状紅斑も出現した.症状が徐々に増悪したため,前医を受診した.症状より特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidrosis:AIGA)を疑った.血液検査にて低ガンマグロブリン血症を認めた.低ガンマグロブリン血症に関しては,分類不能型免疫不全症と診断された.温熱発汗テスト,アセチルコリン皮内テストにより,AIGAと診断し,治療として,免疫グロブリン製剤とステロイドパルス療法を行った.2回の治療では十分な効果は認めなかったが,経過観察とした.再度症状の増悪がみられたことから同治療を再開し,現在,初診時に比べて軽度の発汗増加を認めている.自験例のAIGAは自己免疫性疾患を伴いやすい分類不能型免疫不全症を合併しており,自己免疫性疾患としてのAIGAを強調した.こうした観点からAIGAの病態にアプローチする必要性を実感した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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