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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻13号

2020年12月発行

文献概要

症例報告

母親の抗SS-A/SS-B抗体高値より発症が予測されていた新生児エリテマトーデスの1例

著者: 吉田春奈1 田代康哉1 渡辺秀晃1 末木博彦1

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.1046 - P.1050

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要約 1か月,男児.母親はSjögren症候群に罹患.姉は出生時抗SS-A/SS-B抗体高値のみで,新生児エリテマトーデスは発症しなかった.日齢30日頃からほぼ全身に爪甲大までの類円形紅斑が多発.一部環状を呈する.抗SS-A抗体183.1U/ml,抗SS-B抗体315.3U/mlと高値であった.皮膚生検にて,表皮基底部に液状変性あり,真皮血管周囲と表皮内にリンパ球浸潤を認めた.蛍光抗体直接法は陰性であった.初診1か月後には抗SS-A/SS-B抗体価が低下し,皮疹も5か月後に自然軽快した.母親のSjögren症候群の影響により,姉はより高い抗SS-A/SS-B抗体価にもかかわらず新生児エリテマトーデスは発症しなかったが,自験例本児は発症したため,抗体価の値だけでなく遺伝子など他の要因の発症への関与が示唆された.母親がSjögren症候群に罹患している場合,出生前から胎児心電図に注意し,出生後も心ブロックの有無について経過観察が必要である.

参考文献

1) Iwamoto M, et al:Jpn J Clin Immunol 28:4, 2005
2) Cimaz R, et al:J Pediatr 142:678, 2003
3) Miyagawa S, et al:J Invest Dermatol 108:881, 1997
4) 横川直人,他:日臨免疫会誌 40:124, 2017
5) Norris DA:J Invest Dermatol 100:58S, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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