文献詳細
文献概要
症例報告
両側性対称性帯状疱疹の1例
著者: 湯川圭1 吉岡啓子1
所属機関: 1社会医療法人生長会府中病院皮膚科
ページ範囲:P.1084 - P.1088
文献購入ページに移動要約 79歳,女性.2019年10月初旬,3日前からの前額部の皮疹,全身倦怠感を主訴に近医を受診し,精査加療目的に当科に紹介された.前頭部,前額部,両側上眼瞼と鼻背に小水疱の集簇を伴う浮腫性紅斑を認めた.左右前額部のいずれの皮疹からも皮疹部から施行したTzanck testではウイルス性巨細胞を認め,イムノクロマト法による水痘・帯状疱疹ウイルス抗原検査が陽性であった.三叉神経第1枝領域の両側性対称性帯状疱疹と診断し,アシクロビル250mg/日の7日間の投与で皮疹は改善した.離れた複数の神経支配領域に皮疹が出現する帯状疱疹は複発性・多発性帯状疱疹と定義されており,比較的稀な病型である.好発年齢,性差,予後や合併症に関しては通常の帯状疱疹と差がないと考えられるが,悪性腫瘍や膠原病の合併率は高いと考えられるため,より慎重に検索する必要があると考える.
参考文献
1) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,15巻,中山書店,p33, 2003
2) 桜根太郎,他:皮膚と泌尿 9:290, 1949
3) 小嶋理一,他:皮膚と泌尿 21:606, 1959
4) 大場進一郎,他:皮膚病診療 8:539, 1986
5) 古林利治,他:皮の科 4:281, 2005
6) 外山 望,白木公康:西日皮膚 74:559, 2012
7) 安田秀美,他:西日皮膚 49:1070, 1987
8) 熊谷恒良,他:臨皮 55:14, 2001
9) 竹尾千景,他:西日皮膚 65:45, 2003
10) 小関邦彦,他:皮膚臨床 47:442, 2005
11) 畑清一郎,他:皮膚 17:2, 1975
12) 井本敏弘,他:皮膚 34:599, 1992
13) 加藤雪彦,他:東医大誌 52:605, 1994
14) 天津朗典,他:皮膚 38:520, 1996
15) 桜井直樹,他:日皮会誌 109:1642, 1999
16) 熊野高行,石川博康:日皮会誌 112:1402, 2002
17) 高橋貴志,他:茨城県臨床医学雑誌 39:93, 2003
18) 中井章淳,沖 守生:臨皮 57:956, 2003
19) 紺野隆之,他:皮膚臨床 51:950, 2009
20) 石渕裕久,他:日皮会誌 123:306, 2013
21) 石井智子,他:日皮会誌 123:508, 2013
22) 小野寺信江,田畑伸子:日皮会誌 125:1446, 2015
23) 辻脇真澄,他:臨皮 69:1027, 2015
24) 黒川景子,菅原隆光:日皮会誌 128:1237, 2018
25) 佐藤有規奈,他:西日皮膚 81:257, 2019
26) Lo CH, Chiang CP:Intern Med 52:2841, 2013
27) 石名 航,他:皮膚病診療 31:851, 2009
28) 山路雅己,他:皮膚 37:279, 1995
29) 山川浩平,他:皮膚臨床 61:1342, 2019
掲載誌情報